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2024年5月25日

共有持分の競売を回避する3つの方法

 

共有持分を担保にして金融機関より融資を受けた場合、返済が滞った際に共有持分が競売にかけられるケースが存在します。
もうひとつは、ペアローンにて購入したマイホームのローン返済滞納による持分の競売です。
ここでは、共有持分の競売を回避する3つの方法をご紹介します。

 

 

共有持分の競売が起こり得る2つのケース

共有持分の競売は、次の2つのケースにて起こり得る可能性があります。

 

・共有持分を担保にした融資
・ペアローンで購入したマイホーム

 

共有持分を担保にした融資

自身の共有持分を担保にして、銀行などの金融機関より融資を受ける際、ほかの共有者からの同意を得る必要はありません。
ただし返済が一定期間を超えて滞った際には、抵当権設定を済ませた共有持分が競売にかけられることも想定されます。
そのため、共有持分のみの融資を受ける前に、ほかの共有者への相談をしたほうが無難です。

 

とはいえ、共有持分のみを担保にした融資が受けられる確率は、お世辞にも高いとは言えません。
金利や返済期間などの条件が厳しくなることを理解した上で、借入に臨むことをおすすめします。

 

ペアローンで購入したマイホーム

ペアローンで購入したマイホームの場合、各々の出資額に応じた共有持分が設定されます。
ペアローンとは、金融機関が提供する住宅ローン商品の一種です。
夫と妻、親と子どものそれぞれがローン契約を締結するため、多めの融資が受けられる可能性を秘めています。

 

名義人 出資額 共有持分
頭金:1,000万円
ローン:3,000万円
7分の4
頭金:1,000万円 7分の3

※住宅ローン「ペアローン」

 

夫婦の場合、夫は妻の連帯保証人となり、妻は夫の連帯保証人としての契約です。
団体信用生命保険に関しては、夫または妻のいずれかのローン限定で適用されます。
夫婦のうち、夫に対して団体信用生命保険が適用された場合は以下のとおりです。

 

 
団体信用生命保険 適用 適用されません
ローン契約 免除されます 返済の継続

 

ペアローンは2人の名義人が受けた融資額を、各々が返済していくローン契約です。
一定期間を超えた滞納の際には、共有持分のみの競売も考えられます。
連帯債務型や連帯保証型の住宅ローンでは、共有持分”のみ”の競売はあり得ません。

 

住宅ローンの種類 概要
ペアローン 2人の名義人(夫婦や親子など)がそれぞれに設定するローン契約です。各々の出資額に応じた持分割合が決定します。
連帯保証型 2人の名義人(夫婦や親子など)のうち、いずれかが連帯保証人となるローン契約です。基本は単独所有の借主が返済を担います。各々の出資額に応じた持分割合を決めることも可能です。
連帯債務型 2人の名義人(夫婦や親子など)の収入に応じた持分割合が設定されるローン契約。名義人がそれぞれ債務者と連帯債務者となるのが特徴です。

 

住宅ローン滞納から競売までの流れ

一般的な競売までの流れは次のとおりです。
共有持分のみの競売も同様に進行します。

 

①住宅ローンの滞納
※金融機関によるが3ヶ月から6ヶ月が滞納の目安
②保証会社に対する代位弁済請求
※任意売却の手続きができるタイミング
③競売の実行が決定(目安は1ヶ月程度)
※裁判所からの通知を受ける時期
④競売に臨むための調査
(3ヶ月から4ヶ月程度が目安)
⑤競売物件が公告される(入札期間の2週間前が目安)
⑥競売物件の入札が始まる(入札期間は7日から8日が目安)
⑦売却決定期日に最高価買受申出人への売却が決定
⑧売却決定後、最高価買受申出人に代金納付期限が通知される
※売却決定期日の1ヶ月後が目安
⑨最高価買受申出人が競売物件の購入代金を指定口座に入金
⑩裁判所に保管金受入手続添付書を提出(所有権の取得)
⑪裁判所より嘱託された登記官による競売物件の所有権移転登記
⑫競売物件の引き渡し

 

共有持分の競売を回避する3つの方法

共有持分の競売を回避するための方法として、以下の3つがあげられます。

 

・共有不動産全体の売却
・滞納した共有者の代わりに住宅ローンを返済
・任意売却

 

共有不動産全体の売却

共有持分の競売を避けるためには、共有不動産全体の売却が有効な手段です。
共有者全員の同意が必要となりますが、物件によっては最も高額で売却できる可能性を秘めています。

 

活用方法 活用するための条件
共有持分の不動産を賃貸物件にする 過半数の共有者からの同意
共有持分の不動産を売却する 共有者全員の同意
共有持分の土地部分への建築 共有者全員の同意
共有持分の建物の建て替え 共有者全員の同意
共有持分の建物の増改築 共有者全員の同意

 

滞納した共有者の代わりに住宅ローンを返済

住宅ローンを設定した金融機関の担当者との話し合いが必要となりますが、滞納した共有者の代わりに返済することで、競売を避けられるかもしれません。
金融機関の立場では誰が返済しようと、結果的に融資した金額が回収できれば問題ないことがその理由です。

 

まずは滞納分(3ヶ月~6ヶ月)を返済し、その後の支払いをどうするか?というのが落とし所になるかと思われます。
共有者の残債が完済できればベストですが、繰上返済の手数料が別途発生するケースも。

 

ある程度まとまった額を現金で用意できることが条件となりますが、せっかく購入したマイホームを残すための現実的な方法であるのも確かです。

 

任意売却

競売の実行が決定する前の段階(保証会社に対する代位弁済請求)であれば、任意売却も選択肢となり得ます。
共有不動産全体の売却のため、共有者全員の同意が必須項目です。

 

任意売却に臨むためには、税金の差し押さえを受けていないことや、連帯保証人からの合意を得る必要があります。
競売の入札開始日の前日または前々日までに任意売却が成立すれば、競売を回避することが可能です。
任意売却の実績豊富な不動産業者を見つけることがカギとなるでしょう。

 

まとめ

ここまで、共有持分の競売を回避する3つの方法を紹介してきました。
競売の回避には、共有者の協力を得ることが大前提です。
まずは共有者の現状を把握し、その上で金融機関の担当者と返済計画について相談してみましょう。

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