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2023年9月14日

共有持分の買取を含む売却方法

 

共有持分が登記済みの不動産の売却には名義人全員の同意が必須です。
ただし共有持分のみを不動産会社の買取にて売却することは認められています。

 

共有持分の買取は早期の現金化がメリットです。
とはいえ安易な買取の利用にはリスクが伴うのは否めません。
ここでは共有持分の買取を含む売却方法についてご紹介します。

 

 

共有持分の不動産とは?

共有持分の不動産には複数の名義人が登記されています。
共有持分とは、名義人ごとの不動産の所有権の割合を示す言葉です。
共有持分の決まり方は、物件の購入時と物件の相続で異なります。

 

共有持分の決まり方「物件の購入時」

物件の購入時の場合、名義人ごとの出資額に応じた共有持分が決定されます。
たとえば夫婦で住宅ローンの「ペアローン」を用いた際の共有持分は次のとおりです。

 

名義人 出資額 共有持分
頭金:1,000万円
ローン:3,000万円
7分の4
頭金:1,000万円
ローン:2,000万円
7分の3

 

ペアローンを夫婦で設定した場合、夫のローン契約の連帯保証人が妻、妻のローン契約の連帯保証人は夫となる形です。
ペアローンでは2人分の年収の合計を基に融資金額が査定されます。

 

より多くの融資を受けたい方はペアローンのほかに「連帯債務型」を選択することも可能です。
連帯債務型を選んだ場合、名義人ごとの年収に応じた共有持分が登記されます。

 

名義人 年収 共有持分
夫(債務者) 800万円 3分の2
妻(連帯債務者) 400万円 3分の1

 

共有持分の決まり方「物件の相続時」

物件の相続時の共有持分は、遺産分割の方法と法定相続人の数で決定されます。

 

分割方法 内容 特徴
現物分割 相続人の数に応じた分割
※相続人2人⇒2分の1
※相続人3人⇒3分の1
・相続人全員に公平な分割が可能
・相続人ごとの相続税の負担が軽減される
・測量費用などが生じる可能性
代償分割 相続人のうち1名が土地の所有者になる
他の相続人には現金にて分割
・相続人全員に公平な分割が可能
・土地をそのままの形で残すことができる
・不動産評価額を算定する必要がある
換価分割 土地の売却後に得た売却金額を相続人全員で均等に分ける ・相続人全員に公平な現金での分割が可能
・売却の際に所有権移転登記が必須となる
・売却金額によっては譲渡所得税の納付も
共有分割 相続人の全員で土地を共有する
※特定の所有者を決定しない
・土地をそのままの形で残すことができる
・相続人全員が承諾しないと売却できない

 

上記のうち、共有持分が発生するのは共有分割を選択した場合のみです。
現物分割や代償分割、換価分割を選んだ際には、共有持分を登記する必要はありません。

 

共有分割での共有持分は、法定相続人の数で決定されます。
相続人が被相続人の配偶者と子ども2人の場合の共有持分は以下のとおりです。

 

相続人 共有持分
被相続人の配偶者 2分の1
被相続人の子1 4分の1
被相続人の子2 4分の1

 

法定相続人の数が増えれば増えるほど共有持分は細分化されます。
ただし法的に有効な遺言書が存在する際にはその限りではありません。

 

共有持分の買取を含む売却方法

共有持分が登記済みの不動産の売却方法として、次の3つがあげられます。

 

・不動産全体の売却(名義人全員の同意が必須)
・共有持分をほかの名義人に売却
・共有持分を不動産会社に売却(買取)

 

不動産全体の売却(名義人全員の同意が必須)

最も高額な売却価格が期待できるのは、不動産全体の売却です。
共有持分の名義人全員の同意が必要不可欠となります。
相続した不動産が共有持分の空き家などの場合に有効な方法です。

 

対象不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を所轄の法務局より取得後、物件の名義人と名義人ごとの共有持分を確認することから始めてみましょう。

 

住宅ローンで購入した不動産の場合には、売却金額で住宅ローンが完済できるか?否か?もチェックポイントとなります。
住宅ローンの完済が抵当権抹消登記の条件となることがその理由です。

 

売却金額の分配や諸費用の負担割合も明確にしておきましょう。
基本は共有持分を適用する形です。

 

共有持分をほかの名義人に売却

共有持分の売却先候補として、ほかの名義人も選択肢となり得るでしょう。
ほかの名義人から共有持分を譲渡されることで、所有する共有持分の割合が増加します。

 

共有持分の不動産が賃貸物件であり、名義人が不動産収入を得ている場合に有効なやり方です。

 

共有持分の金額の算出には、相続税路線価や固定資産税評価額を用いると良いでしょう。
より正確性を求めるのであれば、不動産鑑定士への依頼も検討してください。

 

共有物分割請求

共有持分の買取には、共有物分割請求のリスクが潜んでいます。
共有物分割請求とはほかの名義人に対して、共有持分の解消を求める裁判所を通じた手続きです。

 

共有物分割請求後に不動産の単独所有へと切り替わることで、物件の売却や活用が自由にできるようになります。
担保として金融機関より融資を受けることも可能です。

 

共有物分割請求にて裁判所が採用する分割方法は以下のいずれかとなります。

 

分割方法 内容
現物分割 共有物の不動産(土地)を共有持分を基に分筆後、それぞれの共有者の単独所有とする
代金分割 共有物の売却および競売後に売却金額を分割
全面的価格賠償 共有者のうち1名の単独所有とする代わりに、ほかの共有者にはそれぞれの共有持分に応じた金額を支払う

 

まとめ

ここまで、共有持分の買取を含む売却方法について紹介してきました。
共有持分の解消方法は買取以外にも存在します。
まずは、ほかの名義人に相談することから始めてみましょう。

 

 

監修者:河田憲二(株式会社AlbaLink 代表取締役)

大学在学中に創業したwebマーケティング事業を売却し、その資金で株式会社AlbaLinkを創業する。同社が運営しているサービスサイトである「訳あり物件買取プロ」の運営責任者も務めています。同社は東京証券取引所の東京プロマーケット市場に上場している(証券コード:5537

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