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2023年9月19日

告知物件のガイドライン「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」

 

告知物件のガイドラインとして、国土交通省より2021年10月8日に発表された「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」があげられます。

告知事項のうち心理的瑕疵に該当する事象が対象です。

 

ここでは、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」についてご紹介します。

 

 

告知物件の心理的瑕疵に関わるガイドライン

「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」は、告知事項のうち心理的瑕疵に関わるひとつの基準を表したものです。

 

過去にアパートやマンション内で亡くなった人がいる=事故物件というイメージを払拭する意味合いがあるかと思われます。

 

「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」は、次の経緯にて設けられました。

 

2020年2月:第1回検討会の開催

2021年4月:第6回検討会の開催

2021年5月から6月:パブリックコメントの実施

※パブリックコメントの合計218件

2021年9月:第7回検討会の開催

2021年10月8日:「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」の発表

 

対象は居住用不動産

「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」の対象となるのは、居住用の不動産です。

 

賃貸や分譲のアパートやマンションなどの集合住宅や戸建住宅が当てはまります。

店舗やオフィス、商業施設などはガイドラインの対象外です。

 

告知義務の基準

「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」による告知義務の基準は次のとおりです。

 

  賃貸借契約 売買契約
自然死、日常的に起こりうる事故

※誤嚥、建物内の転倒など

告知義務はありません 告知義務はありません
殺人事件、自殺、不審死 事案の発生および特殊清掃の実施から3年間は告知義務が生じます 取引相手の判断に重要な影響を及ぼすと想定される場合、事案の発生からの年数に関わらず告知義務が生じます
隣接住戸や通常は使用しない集合住宅の共用部で起きた殺人事件など 告知義務はありません

ただし、事件性や周知性の高いものに限り告知義務が生じます

告知義務はありません

ただし、事件性や周知性の高いものに限り告知義務が生じます

 

自然死、日常的に起こりうる事故

老衰や病気などが原因となる自然死には告知義務が生じません。

誤嚥や建物内の転倒なども同様です。

これらに該当する居住用不動産は告知物件の対象外となります。

 

ただし、亡くなった後に特殊清掃が実施された際には、賃貸借契約や売買契約時の重要事項説明での告知が必要不可欠です。

 

殺人事件、自殺、不審死

賃貸借契約の場合には事件や事故の発覚や特殊清掃の実施から3年間は、宅地建物取引士より告知することが義務付けられています。

 

一方で売買契約の際には明確な期限が設定されていません。

取引相手の判断に重要な影響を及ぼすと想定される場合には、事案の発生からの年数にか関わらず告知義務が生じます。

 

隣接住戸や通常は使用しない集合住宅の共用部で起きた殺人事件など

 

居住用不動産の隣接住戸や、通常は使用しない集合住宅の共用部で起きた殺人事件などにおいては、賃貸と売買ともに告知義務はありません。

 

とはいえ事件性や周知性の高いものや、社会に大きな影響を及ぼした事象に限り、契約時の告知が必須です。

 

心理的瑕疵以外の告知事項

告知物件の告知事項は心理的瑕疵だけではありません。

心理的瑕疵以外の告知事項は以下のとおりです。

 

・環境的瑕疵

・物理的瑕疵

・法的瑕疵

 

環境的瑕疵

環境的瑕疵には、物件の近隣に所在する施設が対象となります。

個人差に委ねる部分が大きいため、環境的瑕疵に含まれないケースも少なくありません。

 

種別 施設例 嫌悪施設となる理由
交通系 ・空港

・鉄道

・高速道路

・駐車場など

・騒音

・振動

公営または私営の施設 ・ゴミ処理場

・下水処理場

・工場

・発電所

・変電所

・騒音

・振動

・臭い

・煙

風俗系 ・パチンコ店

・競馬場

・競輪場

・ラブホテル

・風俗店

・風紀の乱れ

・治安の悪化

・臭い

・害虫被害

学校、医療施設など ・小中学校

・幼稚園

・保育園

・病院

・騒音

・不快感

その他 ・墓地

・葬儀場

・宗教系の施設

・反社会的勢力の事務所

・ゴミ屋敷

・不快感

・治安の悪化

・臭い

・害虫被害

 

物件の近隣の環境については、内見とは別に調査することが求められます。

時間の都合がつけられるようであれば、朝と昼と夕方の時間帯ごとにチェックしてみるのがおすすめです。

平日と土日祝日の状況を比較するのも良いかもしれません。

 

物理的瑕疵

物理的瑕疵には、建物や設備の不具合に関する項目が当てはまります。

 

・害虫被害(シロアリなど)

・雨漏り

・地盤沈下

・土壌汚染

・倒壊につながる基礎部分の腐食など

・耐震基準に達していない

 

重要事項説明書や物件情報等報告書、付帯設備表に記載されている項目は対象外です。

賃貸契約や売買契約後に発覚した事象のみが、物理的瑕疵として扱われます。

 

法的瑕疵

建築基準法や都市計画法、消防法で設けられた基準を満たしていない建物が法的瑕疵に該当します。

 

建築基準法が施行された1950年以前や、1968年制定の都市計画法以前の建物に多く見られる瑕疵です。

 

代表的な法的瑕疵として、再建築不可物件があげられます。

再建築不可物件は名前からイメージできる通り、建て替えや増改築が禁止されている不動産です。

 

特に旗竿地の場合、路地部分が接道義務を満たしていないものも見受けられます。

接道義務を満たすためには、幅員4メートル以上の道路に敷地が2メートル以上接していることが必要不可欠です。

 

ほかにも、地域で定められた条例や法令にて、再建築不可物件に指定されるケースも存在します。

気になる場合には、市区町村役場の道路課や建築課などの窓口に問い合わせてみましょう。

 

まとめ

ここまで、告知物件のガイドライン「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」について紹介してきました。

 

告知物件は不動産の広告だけでは判別しにくい傾向があるのは否めません。

宅地建物取引士による重要事項説明にて、買主や借主がきちんと確認することが求められます。

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