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2023年9月19日

立ち退き料に関する税金の種類(所得税、法人税、消費税)

 

個人が受け取った立ち退き料は、所得税の課税対象です。

翌年の2月16日から3月15日の間に、所得税の確定申告が義務付けられます。

 

一方、貸主(オーナー、大家さん)が立ち退き料を支払った場合には、経費としての計上が可能です。

ここでは立ち退き料に関する税金の種類(所得税、法人税、消費税)についてご紹介します。

 

 

立ち退き料に課せられる税金「所得税」

立ち退きの際に受け取った立ち退き料には、税金(所得税)が課せられます。

受け取った方(個人)の状況に応じた所得区分は次のとおりです。

 

・譲渡所得

・事業所得

・一時所得

 

譲渡所得(資産の消滅の対価補償)

個人が受け取った立ち退き料が「資産の消滅の対価補償」に該当する場合、譲渡所得として扱われます。

 

・道路の拡張で土地や建物の一部を自治体に譲渡

・再開発事業による立ち退きで持ち家を譲渡など

 

譲渡所得には、保有している不動産(土地、建物)や株式を売却した際に得た”利益分”が当てはまります。

事業所得や給与所得とは別に計算する「分離課税」の扱いです。

 

譲渡所得の計算式は以下のとおり。

課税譲渡所得金額=収入-(取得費+経費)-特別控除額

 

不動産の場合には売却までに所有した年数に応じて、適用される税率が異なります。

 

  長期譲渡所得 短期譲渡所得
不動産の所有期間 5年超 5年以内
税率 20.315%

※所得税:15%

※復興特別所得税:0.315%

※住民税:5%

39.63%

※所得税:30%

※復興特別所得税:0.63%

※住民税:9%

※2013年から2037年までは復興特別所得税が課せられます

 

事業所得(収入金額や必要経費の補填)

立ち退きに伴う店舗や事務所の休業補償として受け取った立ち退き料は、事業所得として計上されます。

事業所得金額=収入(総額)-経費

 

立ち退き料単体で算出するのではなく、トータルの収入(売上)に加えて計算します。

 

一時所得

受け取った立ち退き料が譲渡所得にも事業所得にも該当しない場合、一時所得としての扱いとなります。

賃貸物件の入居者(個人)が受け取る立ち退き料の大半は一時所得です。

 

項目 内容
賞金 懸賞などで得た賞金

※業務に関するものは除きます

払戻金 競馬や競輪で得た払戻金

※継続した営利目的のものは除きます

保険 生命保険の一時金

※業務に関するものは除きます

損害保険の満期払戻金など

法人より贈与された金品 法人より贈与された金品

※業務に関するものは除きます

※継続して受けるものは除きます

報労金など 遺失物の拾得者、埋蔵物の発見者が受け取る報労金など

 

一時所得の計算式は以下のとおり。

 

一時所得金額=収入(一時所得の対象となる総額)-費用(一時所得を得るためだけに使った金額)-特別控除額(50万円/最大)

 

仮に立ち退き料が50万円であれば、特別控除額の50万円が差し引かれるため、一時所得として課税されることはありません。

 

ちなみに立ち退き料が80万円の際には、特別控除額をマイナスした30万円が一時所得金額です。

※一時所得を得るためだけに使った費用が0円の場合

 

一時所得金額は給与所得などにプラスした上で、トータルの所得が算出されます。

※一時所得金額の50%が課税対象

 

立ち退き料に課せられる税金「法人税」

立ち退き料を受け取った方が法人の場合に課せられるのは法人税です。

法人には株式会社や合同会社、一般社団法人などが該当します。

 

個人にとっての所得税が法人税と捉えると理解しやすいでしょう。

法人が受け取った立ち退き料は益金として会計処理されます。

 

立ち退き料に課せられる税金「消費税」

立ち退き料の受け取り方によっては、消費税の課税対象となるケースも存在します。

 

入居者(個人)が貸主(オーナー)より立ち退き料を受け取る

 

入居者が貸主より立ち退き料を受け取った際には、消費税が課せられることはありません。

 

入居者(事業者)が貸主より立ち退き料を受け取る

 

立ち退き料が移転や営業の補償金として支払われた場合にも、消費税は発生しません。

 

入居者(事業者)が貸主以外の第三者より立ち退き料を受け取る

 

入居者(事業者)が貸主以外の第三者より受け取った立ち退き料は、消費税の課税対象として扱われます。

 

「資産等の移転による譲渡の対価の額」に該当することがその理由です。

 

立ち退き料の支払いは必要経費として計上

貸主(オーナー、大家さん)が立ち退き料を支払った際には、必要経費として計上可能です。

 

立ち退き料の種類 計上可能な必要経費
賃貸物件の土地や建物を譲渡する目的で支払う立ち退き料 土地および建物の取得費

※譲渡所得の経費

土地のみを賃貸、立ち退いてもらう建物の所有者(借地人)への立ち退き料 土地の取得費(借地権の買い戻し)

不動産所得の経費

 

立ち退き料が課税対象となった際には所得税の確定申告をしよう

立ち退きの際に受け取った立ち退き料が課税対象となった際には、所得税の確定申告が義務付けられます。

 

前年度の1月1日から12月31日までに得た所得を、文字通り”確定”する手続きです。

確定申告で所得が確定することで、住民税や国民健康保険料の金額が決まります。

 

ほかの所得などの兼ね合いによっては、還付金が得られる可能性も。

所得税の還付金は、確定申告時に記載した金融機関口座に入金されます。

電話やSMSなどで受け取りの連絡が来ることはあり得ません。

 

確定申告は国税庁のサイトや、e-Taxを利用するとスムーズに行なえるのでおすすめです。

所轄の税務署への提出の場合には、混雑の可能性があることを踏まえた上で臨みましょう。

 

まとめ

ここまで、立ち退き料に関する税金の種類(所得税、法人税、消費税)について紹介してきました。

 

まずは立ち退き料を受け取ったご自身が、所得税の課税対象であることを確認しましょう。

特に一時所得の場合、特別控除額(最大50万円)がカギとなります。

税金に関する不明点や疑問点の解消法として、専門家に相談するのもひとつのやり方です。

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