借りる不動産を探す際に「告知事項あり」と書かれている物件情報を見かけることがあります。
実はこの「告知事項」には、賃貸借契約を結ぶ前に知っておくべきポイントがいくつかあるのです。
そこで今回は、告知事項あり物件とは何なのかについて解説します。
告知事項あり物件とは
まずは、告知事項あり物件とはどのような物件なのかについて解説します。
不動産における告知事項とは?
不動産情報を検索するにあたって「告知事項あり」と表記されている不動産とは、簡単に言えば「訳アリの不動産」ということになります。
たとえば、過去に事件が発生している物件であったり、住むにあたって何らかの問題が生じる可能性がある物件といったものが、告知事項あり物件になるのです。
必ずしも居住するうえで大きな問題が生じるというわけではありませんが、告知事項がない物件と比較すると安い家賃で住める可能性がある一方で、ひょっとしたら部屋で過去に人が亡くなっている可能性があるという点で住みにくくなってしまう可能性がある点には注意が必要でしょう。
なお、告知義務に該当する事案が発生した場合、法律により賃貸借契約等の際には相手に対してその内容を告知する義務があります。
告知事項の内容
不動産の説明に告知事項を付記する必要がある問題、これは法的には「瑕疵」というのですが、大きく分けると4つに分類できます。
・心理的瑕疵
・物理的瑕疵
・環境的瑕疵
・法的瑕疵
1つ目の「心理的瑕疵」とは、要するに「お化けが出るのでは?」と思わせるような、過去に室内で人が亡くなっている物件において告知する義務がある瑕疵です。
殺人事件や自殺などで人が亡くなっていることがわかると、心理的抵抗を感じて体調を崩してしまう人も少なくありません。
ただし、病死や老衰などの自然死では告知義務が発生しないことや、心理的瑕疵に該当する事案が発生してから3年が経過しているケースだと告知義務が終了することなどには注意が必要です。
2つ目の「物理的瑕疵」とは文字通り物件に物理的な問題が生じていることを表しており、たとえば自然災害による損壊が修繕されていない状態だとこれに該当します。
3つ目の「環境的瑕疵」とは、その物件の周辺環境に問題がある状態であり、たとえば火葬場やラブホテル、ゴミ処理場などのように人によっては近くに住むことをためらうような建物等が近隣にある場合に告知が必要です。
場合によっては、騒がしくなりやすい保育園や学校などについても、環境的瑕疵になり得ます。
4つ目の「法的瑕疵」とは、不動産関連の法律に抵触する状態のことであり、たとえば建築基準法が定める接道義務を満たしていないことによる再建築不可物件などがこれに該当する問題です。
必ずしも住むうえでデメリットに感じるわけではないが?
こうした告知義務がある物件は、要するに「事故物件」「訳アリ物件」として、相場よりも安い金額で借りることができるケースが多いメリットがあります。
たとえば環境的瑕疵に相当する建物が近隣にあるといっても、それを気にする程度というのは人により異なるため、内容を確認して気にならないと判断すればデメリットなしで住めるように見えるかもしれません。
ですが、心理的瑕疵に相当する、人が亡くなった過去がある場合だと、ニュースなどで報道されていてその地域だけでなく全国的に住所が知られているケースも少なくありません。
告知事項ありの物件はこうした見えにくいデメリットも少なくありませんので、何を理由として告知義務があるのかをきちんと確認して、それがどのようなデメリットをもたらすのかをきちんと精査したうえで契約することをおすすめします。
告知事項あり物件を見抜く
デメリットも多い告知事項あり物件は、知らずに入居すると後でトラブルになるケースも少なくありません。
そこで、告知事項あり物件であるかどうかを確認するための方法について解説します。
告知事項あり物件の記載事項
入居者は告知事項の原因となる事柄があることを事前に知ることが難しいため、宅地建物取引業法では告知事項に関しての事前の説明が義務付けられています。
物件に告知事項がある場合は、その物件情報に以下のような文言が記載されていることが多く、これらの記載を確認すれば告知事項あり物件を見分けることが可能です。
・訳アリ
・事故物件
・心理的瑕疵
・特別募集住宅
・いわくつき
ただし、物件に告知事項がある場合でも不動産会社によってはその告知を意図的に控えているケースがあり、後になって瑕疵が見つかってトラブルになるケースも少なくありません。
このように、告知事項を意図的に隠されてしまうと素人には告知事項あり物件であることを見分けることが少し難しくなってしまいますので、ちょっとしたテクニックを駆使して物件の是非を確認する必要があります。
告知事項あり物件を見極める方法
告知義務あり物件であるかどうかをご自身の力で見極めるためには、いくつかのアプローチがあります。
まず、その物件の家賃が相場よりも安すぎないかどうかを確認してください。
とくに事故物件ともなると相場よりもかなり家賃を安く設定して借りてもらおうとするケースが多いので、家賃が安すぎるということは何か理由があると疑ってかかりましょう。
次に、物件情報に「一部リフォーム済み」などの文言がないかどうかを確認してください。
人が亡くなって特殊清掃をする際に、床材の張替えを必要とするケースがあってその旨を物件情報に掲載している場合があります。
あとは、可能であれば実際にその物件の近くまで足を運んで周辺環境に問題がないかどうかを確認したり、その近くに住んでいる知り合いから情報収集するといった方法もおすすめです。
まとめ
告知事項あり物件は、何が原因で告知事項があるのかを知らないと、住み始めてから後悔することになるかもしれません。
余計なトラブルに発展しないためには、きちんと告知事項あり物件が抱えている問題を精査したうえで契約することが重要です。