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2023年9月19日

立ち退きの際に敷金が戻ってくるための3つの条件

 

家主都合の立ち退きの際には、敷金が戻ってくることがほとんどです。

ただし、原状回復やハウスクリーニング費用が差し引かれる可能性があります。

未払いの賃料を敷金と相殺するケースも想定されるでしょう。

ここでは、立ち退きの際に敷金が戻ってくるための3つの条件についてご紹介します。

 

 

そもそも敷金とは?

敷金は賃貸契約を結ぶ際に、物件の所有者(オーナー、大家さん)に対する賃料を保証する目的で納める費用です。

退去する際の原状回復費用に充てる用途も含まれています。

 

敷金は、賃貸物件の退去時には返還されるのが基本です。

賃料の1ヶ月分、または2ヶ月分を敷金として設定するパターンが多いかと思われます。

 

たとえば賃料が6万円で2ヶ月分の敷金(12万円)の場合、退去時に戻ってくる敷金は次のとおりです。

 

  返還される敷金
原状回復費用なし 120,000円
原状回復費用あり 120,000円-原状回復費用
賃料未払い(1ヶ月分) 60,000円
賃料未払い(2ヶ月分) 0円

 

敷金が全額返還されるためには賃料を滞りなく納めて、なおかつ原状回復費用が発生しないことが条件です。

 

敷金と礼金の違い

賃貸物件の初期費用のひとつに礼金があげられます。

物件情報に「敷2・礼1」と表示されている場合、敷金が賃料の2ヶ月分、礼金が賃料の1ヶ月分ということです。

 

礼金は物件のオーナーへの、文字通り「お礼」の意味で納められます。

そのため敷金と異なり、退去時に返還されることはありません。

 

立ち退きの際に敷金が戻ってくるための3つの条件

立ち退きの際に敷金が戻ってくるためには、以下の3つの条件をクリアする必要があります。

 

・毎月の賃料を滞りなく納める

・経年劣化以外の汚損や破損がない

・規約を遵守する

 

毎月の賃料を滞りなく納める

前述したように、敷金は賃料の未払い分を保証する目的で納められます。

立ち退きの際に敷金を全額返還したい方は、毎月の賃料を滞りなく納めることが前提です。

 

経年劣化以外の汚損や破損がない

入居した物件内に経年劣化以外の汚損や破損がないことも、敷金の全額返還の条件です。

ただし、どこまでが経年劣化なのか?のボーダーラインは、オーナーや管理会社ごとに異なるため明確ではありません。

 

マメに掃除をする、ゴミは収集日ごとに捨てることを心がけましょう。

 

規約を遵守する

「釈迦に説法」のように感じるかもしれませんが、規約を遵守することも大切です。

 

たとえばペット禁止の物件でペットを飼っている場合、規約違反の扱いとなります。

部屋の臭いで判明しやすいため、退去時に違約金を請求されるかもしれません。

 

規約違反として想定されるものを次の表にまとめてみました。

 

規約違反の例 内容
賃料の未払い(長期間) 賃料が3ヶ月以上支払われていない
契約時の居住者数と異なる 単身者で契約したが、無断で恋人などを住まわせる
ペット禁止 ペット禁止にもかかわらず、無許可でペットを飼っている
物件の使用目的 居住用で契約したがオフィスや店舗として使用している
犯罪行為 詐欺などの犯罪目的で物件を使用している
物件の又貸し 契約者ではない人に無断で物件を又貸ししている
騒音 テレビやオーディオ、楽器などを大音量で鳴らす
意図的な汚損、破損 壁紙への落書き、壁や床などを叩いて壊す

 

ちなみに強制退去となった際には、敷金や立ち退き料の受け取り対象外です。

 

立ち退き料と敷金は別枠で支払われる

物件のオーナー都合の立ち退きの場合、入居者に対して立ち退き料が支払われることが一般的です。

立ち退き料は、賃料の5ヶ月分から6ヶ月分が目安とされています。

 

賃料 立ち退き料の目安(5ヶ月分) 立ち退き料の目安(6ヶ月分)
50,000円 250,000円 300,000円
60,000円 300,000円 360,000円
70,000円 350,000円 420,000円
80,000円 400,000円 480,000円
90,000円 450,000円 540,000円
100,000円 500,000円 600,000円

 

敷金が返還される場合、立ち退き料とは別枠で支払われることになります。

 

賃料 立ち退き料の目安(6ヶ月分) 敷金(賃料2ヶ月分)

※原状回復費用なし

50,000円 300,000円 100,000円
60,000円 360,000円 120,000円
70,000円 420,000円 140,000円
80,000円 480,000円 160,000円
90,000円 540,000円 180,000円
100,000円 600,000円 200,000円

 

立ち退き料は、次の移転先の費用(引っ越し代、初期費用)を補填する意味合いで支払われると捉えておきましょう。

 

ただし、立ち退き料の支払いは法律で定められているわけではありません。

入居者の規約違反などの場合には、立ち退き料が発生しないケースも存在します。

 

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

立ち退き時に限らず敷金の返還を左右するのは、原状回復の有無であるのは間違いありません。

 

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によりますと、原状回復=入居時の状態に戻すことではないと明文化されています。

 

・入居者の過失による汚損および破損

・入居者の管理の不備による汚損および破損

 

通常の生活を送った上での経年劣化によるものは、原状回復費用の対象外です。

立ち退き交渉の際にトラブルを招かないためにも、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参照しながら、話し合いを進めていくことをおすすめします。

 

参考資料

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

 

まとめ

ここまで、立ち退きの際に敷金が戻ってくるための3つの条件について紹介してきました。

移転後にかかる費用を軽減するためにも、立ち退き料や敷金はきちんと受け取っておきたいものです。

 

とはいえ、立ち退きの状況や交渉によっては、そうした費用が発生しないことも想定されます。

 

まずはご自身が立ち退き料や敷金を受け取れる対象であるか?否か?を確認することから始めてみましょう。

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