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2024年1月28日

立ち退き交渉のポイントと成功事例の紹介

 

借地借家法の制約により、住居やテナントとして不動産を貸し出しているオーナーは一部の条件下を除いては簡単にその契約を無効にし、立ち退きを要求することはできません。

そのため、多くの場合は「立ち退き料」を含めた条件について借主と交渉することになるわけですが、必ずしもこの交渉がうまく行くとは限りません。

そこで今回は、立ち退きを要求する際の交渉のポイントについて解説します。

 

 

立ち退きの交渉が必要になる場面

不動産を貸し出していて、その不動産から退去してほしいと考えるにあたって交渉を必要とする場面としては、借地借家法が定める要件を満たしていない場合が該当します。

たとえば「家賃を何か月も滞納していて支払い督促を無視されている」「定期借家契約の期間満了である」といった事情があれば、借主はすぐにでも退去しなければならず、よほどの事情がない限りは裁判に発展してもオーナー側の権利が認められるでしょう。

しかし、それ以外のケースだと借地借家法は借主側の権利を大きく保護しており、たとえば契約更新をオーナー側が拒否することで立ち退きを強制しようとしても、そのために十分な理由がない限りは更新を拒否できません。

これを「正当な事由」というのですが、これは裁判で争うことになるケースも多く、多くの場合は簡単には正当な事由としては認められません。

多くの場合は「オーナー側の事情」+「十分な立ち退き料の支払い」という条件によって立ち退き要求の正当性が認められることになりますので、裁判以前の借主との交渉においても大きな焦点となるのは立ち退き料をどれだけ支払うことになるのかといった部分になるでしょう。

 

立ち退き交渉を円滑に進めるポイント

貸し出している不動産からの立ち退き要求に関する交渉を、スムーズに進めるためには以下のポイントを抑える必要があります。

 

オーナーの立場を利用して強要しない

まず、立ち退き交渉に際してオーナーの立場を過剰に利用しないことが重要です。

過去に立ち退き要求をしたオーナーの中には、借主側の借地借家法による権利に関する知識が不十分なことを悪用して、まともな転居期間や立ち退き料を準備せずに借主に立ち退きを強要したケースも少なくありません。

しかし、これは借地借家法が定める借主側の権利を侵害する行為であるため、退去後に借主が弁護士を伴って訴えを起こすケースも多いのです。

場合によっては本来の立ち退き料などの負担以上に損害賠償請求や精神的苦痛に対する慰謝料の支払いなどの負担を課せられる可能性があり、加えて「悪質なオーナー」というレッテルを貼られる可能性もあるため、デメリットが多いやり方となります。

確かに「不動産のオーナー」という立場ではありますが、借地借家法が借主の権利を守っている以上は「立ち退きを認めてもらうために交渉を持ちかけている立場である」ということを念頭に置いて、正当な条件で借主に立ち退きを認めてもらうための交渉を持ちかけることを念頭に置いておきましょう。

 

十分な立ち退き料を提示する

次に、立ち退きを要求する交渉を持ちかけるにあたっては、借主側に十分な立ち退き料を提示することを念頭に置いておきましょう。

借地借家法では「立ち退き料」についての記述がありますが、具体的にどれくらいの金額を支払うと立ち退きの正当性が認められるかについての言及はありません。

ある程度の「相場」というものはありますが、実際にはそれまでの家賃やテナントの場合であれば移転による損害の補填などの関係がありますので、最終的には借主側が立ち退きに納得するのに十分な金額の立ち退き料を提示する必要があります。

たとえば、立ち退き料を100万円として借主に提示したとしましょう。

実は一般的な居住用の賃貸借契約の立ち退き料の相場は200万円であり、借主側もその金額であれば納得したとします。

提示されているのが100万円なので借主は納得せず交渉は決裂、裁判に発展して裁判所では「300万円の立ち退き料で認める」という判断になったとすれば、本来であれば200万円で済んだところを300万円の負担になってしまうことになるのです。

もちろん、借主の要求よりも裁判結果のほうが安く済むケースもありますが、家賃などの条件を勘案して十分な立ち退き料を提示しなければ交渉が難航して裁判に発展するケースも多いことを念頭に置くことをおすすめします。

 

転居先・移転先を斡旋する

3つ目の方法として、立ち退きを要求する相手である借主の、退去後の転居先・移転先を斡旋するという方法も重要です。

立ち退きを要求するにあたっては、借主側はその要求に応じるためには転居先・移転先を探す必要があり、そのためには手間がかかります。

場合によっては借主の仕事に差し支えることになるかもしれませんので、借主には相当な負担になり、立ち退き料の増額や、そもそも立ち退きに応じない可能性を高めるといったリスクを高めることになるのです。

しかし、オーナーが複数の不動産を所有していてその中の別の物件を斡旋したり、知り合いの所有している不動産を紹介するなどすれば、借主側の負担を軽減することができます。

必ずしもこの条件を利用できるというわけではありませんが、利用できる場合は借主にその点を相談して、少しでも立ち退き要求の交渉を有利に進めるようにしましょう。

 

空き物件が多い状態で交渉する

ちょっとしたテクニックにはなりますが、立ち退きを要求するにあたっては同じ建物で空き物件が多い状態で交渉することをおすすめします。

たとえば、建物を取り壊したい場合、借主全員に退去してもらう必要がありますので、立ち退き料もその全員に支払う必要があります。

なので、借りている人が少ない状況で交渉すれば、交渉して立ち退き料を支払う必要がある人も少なくなるのです。

 

弁護士のサポートを依頼する

立ち退きの要求のための交渉を円滑に進めるためには、弁護士のサポートを依頼することをおすすめします。

弁護士は過去の事例・判例からそのケースにおける正当な立ち退き条件を提示することができ、借主も「弁護士が言うのであれば真っ当なのであろう」と納得してくれる可能性が高まるのです。

また、裁判に発展する場合も弁護士のサポートがあれば安心できます。

交渉が難航するケースでは弁護士のサポートの有無が合意形成に至るまでの難易度を大きく左右することになりますので、スムーズに交渉を済ませて立ち退きを済ませるためには弁護士に依頼しましょう。

 

まとめ

何らかの理由があって立ち退きを要求するにあたっては、借主側が納得する条件を提示して交渉を進める必要があります。

個人間で交渉を合意させることも可能ですが、難航する可能性がある場合は弁護士に依頼してスムーズに合意に至るようにしましょう。

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