再建築不可物件では、特別な条件を満たさない限り建物を建て替えることは許可されません。
しかし、規制の範囲内であれば「リノベーション」して、不動産としての利用価値や資産価値を高める余地はあるのです。
そこで、再建築不可物件におけるリノベーションの可能性について解説します。
再建築不可物件とリノベーションの相性
まずは、再建築不可物件とリノベーションの相性について解説します。
再建築不可物件の制約とリノベーションの可能性
再建築不可物件は、別記事で解説していますが特定の難しい条件を満たさない限り、既存の建物を取り壊して新しく建物を建て替えることは禁止されています。
これは、建築基準法などで定められている接道義務を満たしていないことが理由であり、接道義務を満たさない限りは基本的に既存の建物をそのまま使い続けることになるのです。
ですが、建築確認申請が必要ない範囲でのリノベーションであれば、建築不可物件でも認められています。
大規模な工事になるフルリノベーションこそできませんが、一部分のリノベーションだけであれば接道義務を満たしていない建築不可物件であっても可能であるため、既存の建物のまま住まなければならないという心配はいらないのです。
リノベーションによる付加価値の創出
一般的に、建築不可物件は利用できる範囲が限られていることから資産価値が乏しく、銀行に至っては担保価値をゼロ円として見ているほどです。
建築基準法制定(1950年)以前に建てられた建物なので基本的に古く、現代的な生活が難しい物件であることが多いため、そのまま住むのにも適しておらず、なかなか買い手が付きにくいという厄介さがあります。
しかし、リノベーションすることで現代的な住宅施設を取り入れることにより物件としての利便性と価値を高めることで買い手が付きやすくなり、資産価値が高まることで買取価格も元の金額よりも向上するケースが多いです。
リノベーションによって付加価値を創出することができれば、カフェや宿泊施設などでの利用価値も高まり、物件の購入費用とリノベーション費用を簡単に回収できる可能性もあります。
再建築不可物件での成功事例
再建築不可物件でのリノベーションは、たとえば以下のような事例があります。
歴史的建築物のリノベーション
再建築不可物件の多くは古い建物ですが、中にはその地域の歴史に深く関わるような建築物である可能性もあります。
その建物で生活することは困難かもしれませんが、たとえば歴史資料館のように、歴史的建築物のイメージと相性の良い利用法で集客する方法もあるでしょう。
居住することを考慮しなければ生活設備の導入はほとんど必要ないため、内装のリノベーションだけで済むので場合によってはDIYによって費用を抑えつつ内装をきれいに整えることも十分に可能です。
地域社会との調和とリノベーション
再建築不可物件のリノベーションは、建築確認申請が必要になるような大規模なものは認められていませんので、多くの場合は外観が大きく変わることはありません。
再建築不可物件は古い建物が多く、そうなると周囲の建物も歴史を感じるような雰囲気の街並みになっているケースも多いでしょう。
そのため、建築不可物件をリノベーションして活用することができれば、街並みの雰囲気を壊してしまうことなく、カフェなどで集客して街の活性化につなげることも可能です。
街の雰囲気を壊さずにリノベーションして上手に活用するという方向性は、周辺住民の協力を取り付けやすく、商業への協力を取り付けたりこちらからも労働力や生産物などを還元することで周辺との関係性を良好に保つことができるでしょう。
創造的な再建築不可物件リノベーションのアイデア
再建築不可物件をリノベーションしても、必ずしも商業的に成功するというわけではありません。
では、どのようなアイデアを駆使すれば再建築不可物件のリノベーションに成功できるのでしょうか。
モダンと伝統の融合
建築不可物件は古い建物が多いので、その古さを生かしたリノベーションやインテリアの配置がおすすめです。
古風一色にまとめるという方向性も悪くありませんが、建物自体の古風な伝統のイメージと、リノベーションにより創出されたモダンさを融合させた、新しい雰囲気の建物に生まれ変わらせるという方向性も良いでしょう。
ただし、モダンと伝統の融合は簡単なことではありませんので、高度なセンスが求められることになります。
必要に応じてアドバイザーなどの助力を受けつつ、多くの人に評価されるようなモダン×伝統のイメージに仕上げましょう。
新たなトレンドとイノベーション
建築不可物件をリノベーションするにあたっては、最新のトレンドとテクノロジーを積極的に取り入れて、新たなイノベーションを生み出すことも重要です。
一昔前に流行していたトレンドも、今では多くの人に忘れ去られてしまうといった事例は少なくありません。
商業的な成功のためには、最新のトレンドを取り入れたリノベーションを採用することも重要なのです。
また、プロジェクションマッピングのような最新技術を取り入れることで、今までのリノベーションではできなかったことも商業に取り入れることができるようになり、建築不可物件のリノベーションの幅をより広げることになるでしょう。
専門家のアドバイスとコンサルテーション
建築不可物件のリノベーションにおいては、商業的な成功如何も重要ではありますが、そのためにも専門家のアドバイスを受けることが重要です。
リノベーションの専門家だけでなく、建築関係の専門家のアドバイスを受けることにより、建築不可物件としての違法建築にならないような範囲でリノベーション計画を進めることができるようになります。
専門家の助力を得るには相応の費用を支払う必要がありますが、トラブルなくリノベーションを成功させるためには大きな力になりますので、ぜひ専門家の助力を得ることを検討しましょう。
まとめ
建築不可物件はリノベーションすることで商業利用も夢ではありませんが、成功するためには独創的なアイデアの創出と、専門家のサポートを受けることが重要です。
成功すれば地域に根差した商業的成功を実現できるため、専門家のアドバイスを受けつつ効果的な建築不可物件活用の可能性を模索してください。