底地と借地の違いは、同じ土地に対する立場および権利です。
土地の所有権を持つ側にとっては「底地」であり、土地を借りて建物を建てた借地人には土地の「借地権」が与えられます。
駐車場などの建物が存在しない用途の場合には借地権は発生しません。
ここでは底地と借地の違いについて紹介します。
底地と借地の違いとは
底地は借地権が設定された土地の名称です。
土地の所有者の持つ権利(底地権)でもあります。
地主 | 借地人 | |
---|---|---|
権利 | 土地の所有権 | 土地の借地権 |
どのような関係? | 借地人に土地を貸している | 地主から土地を借りている
借りた土地に戸建住宅などを建てている |
費用 | 借地人から支払われた地代を受け取る | 土地の使用料として地主に地代を支払う |
借地権の売買時 | 借地人より承諾料を受け取る | 地主に承諾料を支払う |
底地の売買 | 可能 ※買主が見つかることが条件 |
地主から購入することも可能 |
固定資産税 | 土地に対する固定資産税を納める | 建物に対する固定資産税を納める |
都市計画税 | 土地に対する都市計画税を納める | 建物に対する都市計画税を納める |
一方、借地は借地権の設定された底地を借りて建物を建てた方(借地人)からの視点による名称であり権利(借地権)です。
戸建住宅やマンションなどの建物を建てることで借地権が生じます。
駐車場などの建物が存在しない用途では借地権は与えられません。
底地の所有者(地主)は、借地人に土地を貸す代わりに地代(不動産収入)を受け取ります。
建物の増改築や建て替えの際には、地主からの承諾が必須です。
底地に設定された借地権ごとの違い
底地には借地権が設定されており、それぞれの契約期間が設けられています。
借地権の種類 | 初回設定期間 | 更新後の期間 |
---|---|---|
普通借地権 | 30年 | 更新1回目:20年
更新2回目以降:10年 |
定期借地権(一般定期借地権)
※戸建住宅、マンション(住宅用) |
50年以上 | 更新なし
契約期間満了後は更地にして地主に返す |
事業用定期借地権 | 10年以上50年未満
※2008年1月1日以前の場合は10年以上20年以下 |
更新なし
契約期間満了後は更地にして地主に返す |
建物譲渡特約付借地権 | 30年以上 | 更新なし
契約期間満了後は地主が建物を買取する |
一時使用目的の借地権 | 2年などの設定も可能 | 更新なし
※一時的な使用が目的のため |
※借地借家法(1992年8月1日以降の契約)
普通借地権
普通借地権は、契約期間の更新が認められているのが特徴です。
初回の契約期間は30年。
その後は1回目の更新で20年、2回目以降の更新にて10年の契約期間へと変わります。
借地借家法が施行された1992年8月1日以前の「旧借地法」による契約の場合には、以下の契約期間が適用される点は注意が必要です。
建造物の種類 | 初回設定期間 | 更新後の期間 |
---|---|---|
木造 | 30年(最低でも20年) | 20年 |
鉄骨造・鉄筋コンクリート造 | 60年(最低でも30年) | 30年 |
※旧借地法(1992年7月31日までの契約)
定期借地権
定期借地権には、契約期間満了後の更新が存在しない点が共通しています。
・一般定期借地権
・事業用定期借地権
・建物譲渡特約付借地権
戸建住宅などの場合に適用されるのが一般定期借地権です。
契約期間が満了した時点で更地にして地主に土地を返還することが求められます。
事業用定期借地権は文字通り、店舗や工場などの事業を対象とした借地権です。
こちらも契約期間の満了後は、土地を更地に戻してから地主に返します。
建物譲渡特約付借地権は、契約満了後に地主が建物を買取することを前提とした権利です。
一時使用目的の借地権
普通借地権にも定期借地権にも該当しない借地権の種類です。
借地借家法第25条にて定められています。
イベントや仮設店舗、建設現場の休憩施設などで短期的かつ暫定的に利用する際に適用されるのが一時使用目的の借地権です。
底地と借地の違い「固定資産税」「都市計画税」
底地と借地の違いには固定資産税および都市計画税も含まれます。
底地の所有者は土地に対する固定資産税と都市計画税を納付。
借地人は建物に課せられる固定資産税と都市計画税を納める形です。
固定資産税と都市計画税の計算式は次のとおり。
固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
都市計画税=固定資産税評価額×0.3%
ご自身の固定資産税評価額は、市町村自治体より毎年の4月から5月に送付される固定資産税(都市計画税)納税通知書に記載されています。
固定資産税および都市計画税の軽減措置
底地に戸建住宅などの建物が建てられている場合には、固定資産税および都市計画税の軽減措置の対象となり得ます。
税金の名称 | 軽減措置 | |
---|---|---|
小規模住宅用地
※200㎡以下 |
固定資産税 | 固定資産税評価額×6分の1 |
小規模住宅用地
※200㎡以下 |
都市計画税 | 固定資産税評価額×3分の1 |
一般住宅用地
※200㎡超 |
固定資産税 | 固定資産税評価額×3分の1 |
一般住宅用地
※200㎡超 |
都市計画税 | 固定資産税評価額×3分の2 |
土地に対する軽減措置のため、実際に恩恵を受けるのは地主(底地の所有者)です。
建物の所有者である借地人には適用されません。
底地は誰に売却するのがベスト?
相続で底地を受け継いだ場合など、底地の売却を検討する機会があるかもしれません。
底地は借地権がすでに設定されていることから、市場に出しても売却が難しいとも言われています。
底地の売却候補として想定されるのは以下の3つです。
・借地人
・不動産投資家
・不動産会社(買取)
この中で最も現実的かつ有力な候補先は借地人です。
借地人が土地の所有者となることで、金融機関の融資が受けやすくなります。
地代を納めるよりも土地を購入するメリットが上回れば可能性が持てるでしょう。
底地の所在するエリアによっては不動産投資家も売却先として浮上します。
カギとなるのは地代の利回りです。
そして早急な現金化を求めるのであれば、不動産会社による買取をおすすめします。
まとめ
ここまで、底地と借地の違いについて紹介してきました。
底地の市場価値や収益性、ご自身のおかれた状況などを加味した上で、底地の取り扱いを考慮していくと良いかと思われます。