底地とは借地権がすでに設定済みの土地を表す言葉です。
底地の所有者(地主)が自由に土地を使用することは認められていません。
借地借家法にて借地人の権利(借地権)が保護されていることがその理由です。
ここでは、底地の売却をスムーズに進めるための5つのコツについてご紹介します。
底地の売却をスムーズに進めるための5つのコツ
底地は買主が見つかることを条件として売却することが可能です。
とはいえ、底地は用途が限定されるため、敬遠されがちな土地でもあるのも否めません。
底地の売却をスムーズに進めるためのコツとして、次の5つが想定されます。
・すでに居住している借地人への売却
・不動産投資家への売却
・底地と借地権を同時に売却
・底地と借地権との等価交換後の売却
・不動産会社への売却(買取)
すでに居住している借地人への売却
底地の売却先として最有力候補となり得るのが、すでに居住している借地人です。
毎月地代を納めるよりも土地とともに所有したほうがお得である、と捉えてもらえるようであれば可能性があるでしょう。
建て替えや増改築のタイミングに購入を持ちかけてみると良いかもしれません。
建物のみの所有では金融機関のローン設定が難しいことがその理由です。
借地人による底地の購入後は土地と建物の所有者となるため、底地権も借地権も消滅します。
その代わりに納めるのが建物と土地の固定資産税(都市計画税)です。
※借地人の間は建物のみの固定資産税(都市計画税)
建物を有している土地の所有者には、固定資産税および都市計画税の軽減措置が適用されます。
税金の名称 | 軽減措置 | |
---|---|---|
小規模住宅用地
※200㎡以下 |
固定資産税 | 固定資産税評価額×6分の1 |
小規模住宅用地
※200㎡以下 |
都市計画税 | 固定資産税評価額×3分の1 |
一般住宅用地
※200㎡超 |
固定資産税 | 固定資産税評価額×3分の1 |
一般住宅用地
※200㎡超 |
都市計画税 | 固定資産税評価額×3分の2 |
不動産投資家への売却
底地の所在するエリアなどにもよりますが、不動産投資家への売却も選択肢となり得ます。
借地人から定期的に受け取れる地代が、固定資産税などのランニングコストを大幅に上回るようであれば売却の可能性が高まるでしょう。
そのほかにも土地の境界線および、借地の部分が明確であることも重要です。
借地人や近隣との関係性が良好であることも好条件に含まれます。
底地と借地権を同時に売却
底地単体では難しくとも、借地権と同時に売却することで、売却価格が上乗せされる確率が高まります。
借地人から底地の購入をお断りされた際の代案のひとつです。
売却前に双方の取り分を定めておくことがトラブルの回避につながるでしょう。
不動産業者などの第三者を間に入れておくことも視野に入れたいところです。
底地と借地権との等価交換後の売却
一定以上の土地の面積を有していることが前提となりますが、底地と借地権の等価交換というやり方もあります。
建物と土地がセットになるため、底地よりも高額な売却価格で取引を成立させることも可能です。
借地人としても土地が自己所有となるため、建て替えや増改築なども地主の許可を得なくとも進められるようになります。
不動産会社への売却(買取)
相続税の納付時期が近い場合などは、不動産会社への売却も選択肢に含まれます。
底地や狭小地、再建築不可物件などの買取実績の豊富な不動産会社がおすすめです。
底地の売却価格の目安(相続税路線価)
底地の売却価格の目安として、相続税路線価を用いた評価額があげられます。
相続税路線価とは、国税庁が毎年の7月に発表する「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」を基にした土地の評価額です。
相続税路線価を0.8で割った金額が、実勢価格(市場での取引価格)に近い数値とされています。
底地の評価額=相続税路線価×(1-借地権割合)÷0.8
とはいえ実際の底地の評価額は、算出された金額よりも割安となる傾向があるのは否めません。
底地が地主の意思で土地を自由に使えないことがその理由です。
底地の売却に関する税金
底地の売却が成立し、売却益が生じた際には譲渡所得税を納める必要があります。
課税譲渡所得金額=収入-(取得費+経費)-特別控除額
譲渡所得税は不動産の所有期間に応じて異なります。
長期譲渡所得 | 短期譲渡所得 | |
---|---|---|
不動産の所有期間 | 5年超 | 5年以内 |
税率 | 20.315%
※所得税:15% ※復興特別所得税:0.315% ※住民税:5% |
39.63%
※所得税:30% ※復興特別所得税:0.63% ※住民税:9% |
※2013年から2037年までは復興特別所得税が課せられます
売却益が生じなかった際には確定申告は不要?
企業や団体に勤務している方の場合には年末調整が実施されるため、底地の売却時に売却益が生じなかった際には必ずしも確定申告を実施する必要はありません。
とはいえ底地は事業用不動産に該当するため、結果的に損失となった際にも確定申告をしておいたほうが無難でしょう。
一定の条件を満たすことで、損益通算が適用されることがその理由です。
損益通算によって、ほかの所得(給与所得や事業所得など)から損失分が控除されます。
底地を相続する際の分割方法
相続によって底地を受け継ぐ際には、以下の4つの分割方法のいずれかを選択する必要があります。
分割方法 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
現物分割 | 相続人の数に応じた分割
※相続人2人⇒2分の1 ※相続人3人⇒3分の1 |
・相続人全員に公平な分割が可能
・相続人ごとの相続税の負担が軽減される ・測量費用などが生じる可能性 |
代償分割 | 相続人のうち1名が土地の所有者になる
他の相続人には現金にて分割 |
・相続人全員に公平な分割が可能
・土地をそのままの形で残すことができる ・不動産評価額を算定する必要がある |
換価分割 | 土地の売却後に得た売却金額を相続人全員で均等に分ける | ・相続人全員に公平な現金での分割が可能
・売却の際に所有権移転登記が必須となる ・売却金額によっては譲渡所得税の納付も |
共有分割 | 相続人の全員で土地を共有する
※特定の所有者を決定しない |
・土地をそのままの形で残すことができる
・相続人全員が承諾しないと売却できない |
底地の売却を視野に入れているようであれば、代償分割もしくは換価分割を検討することをおすすめします
まとめ
ここまで、底地の売却をスムーズに進めるための5つのコツについて紹介してきました。
底地は売却が比較的難しい不動産のひとつです。
当記事が底地を高値で売却したい方の参考になることを願います。